特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

労働紛争でスピード解決が大切な理由。社労士のユニオン連携について。

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対面労働相談に応じたり、個別労働紛争で労働者側あっせん代理人をしていると、労働審判や訴訟で争うことができる事件は、現実的にはかなり限定的だということを思い知らされます。

 

労働審判や訴訟で争いたいと思っても、パートタイマーの解雇など紛争目的額が小さい事件だと、代理人を受任してくれる弁護士を探すのさえ難しいということもあります。

 

また、労働審判制度ができ、訴訟より審理もスピーディになって、労働者にとって司法手続は身近になったという人もいますが、本人申立てで労働審判を行うのは、実際には相当にハードルが高いと言わざるを得ません。労働紛争に精通した特定社労士が後方支援にまわれば、少しはハードルを下げることはできますが、それでも審理において一人で労働審判官や労働審判員と向き合って、理路整然と受け答えしていくのは、タフな人でなければできません。申立人が心身とも健康な状態でなければ、審理に耐えられないことも考えられます。

 

裁判所の労働審判のWebページには、気軽に「必要に応じて、法律の専門家である弁護士に相談することが望ましいでしょう」と書いてあります。しかしそれができるのは、現実には労働審判に入る前の法律相談レベルの話であって、実際に本人申し立てで始まった労働審判を積極的にサポートしている弁護士は、少なくとも私の周りには一人もおりません(同様のサポートをする特定社労士は何人も居ますが…)。つまり、労働審判であっても、現実には代理人弁護士を立てざるを得ないケースが大半でしょう。

 

最近は定型的な業務に関して、着手金無料の成功報酬のみというような弁護士さんも出てきていますが、労働紛争の様な非定型の業務について着手金ゼロなどということはまずありません。高額の着手金を用意して、労働審判の代理を弁護士に依頼し、それでも思う様な経済的利益を得られれば良いのですが、労働審判を通じて行われる調停で話がまとまらず、最終的に出された審判にも相手方から異議申し立てがなされれば、結局訴訟に移行することになります。そうなれば、仮に勝訴か勝訴に近い和解であっても、争いは少なくとも1年超の長期に及ぶことが多くなります。

 

解雇事件で地位確認請求をしている場合でも、訴訟の間に他企業に就職し仕事をすることは問題ありません。しかし、訴訟を抱えたまま転職してバリバリ仕事をしている人というのは、実際にはまずいません。人間はそんなに簡単に切り替えができる生き物ではありません。何年も争っているケースの多くは、メンタル不調等で働けなくなり、労災も認められて、経済的にも争える状態にあるという、ある意味特殊なケースです。

 

従って、そうした特殊なケースを除いた労働紛争については、未払残業であれ、解雇であれ、パワハラ・セクハラであれ、早期解決によって、キャリアの断絶を可能な限り短い期間にすること。そこに最も大きな意味があるわけです。

 

特定社労士が代理できる個別労働関係紛争の裁判外紛争解決手続(あっせん等)は、労働紛争のスピード解決で中核的な手段になり得るものです。しかし現行のあっせん等について言えば、その効力が限定的であると言わざるを得ません。少なくとも顧問社労士や顧問弁護士を含んで、使用者側が、労働紛争に深入りすることのマイナスを考量できるレベルにないことには、上手く機能しないシステムであるからです。多くの企業がそのレベルに至るには、個別労働関係紛争におけるあっせん手続きが一層ポピュラーなものとなる必要がありますが、それにはまだ時間を要するでしょう。

 

その間の現実的な方策として、ユニオン(合同労組)との連携も、時には必要な手段であると考えるようになりました。敵対的な使用者側と対峙して、しかも比較的スピーディに解決を図らねばならない場合、強力な労働組合法に基づく団体交渉というオプションを併用していくのがやはり現実的です。

 

平成18年社労士法改正において労働争議不介入の条文が削除され、同年全国社会保険労務士会連合会から「労働協約の締結等のために団体交渉の場に、当事者の一方の委任を受けて、当事者の一方とともに出席し、交渉することは法第2条第1項第3号の業務に含まれ、処分権を持つ代理人になる等弁護士法72条に反しない限り、当然社会保険労務士の業務であり、法改正後は、労働争議時における団体交渉においても同様と解釈する」という公式見解が出されています。これについて非弁の争い等があると耳にしたことはありませんから、社会保険労務士は、ユニオンの代理としては交渉することはできないものの、ユニオンとともに団交を行うことができます。

 

これからは使用者側の姿勢に応じて、アプローチを変え、変幻自在に手を打って、労働紛争のスピード解決を一層心掛けたいと思います。 

 

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