電通新人社員の過労自殺労災認定に特定社労士として思うこと。
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電通なしでは成り立たない民放では殆ど取り上げられていませんが、東大文学部を出て昨年電通に入社した女性新人社員が、1ヵ月100時間超の残業等による過労で、昨年のクリスマスに自殺。9月30日付で三田労働基準監督署が労災に認定したというニュースが新聞、ネットでは大きく取り扱われています。本当に悲しい、胸が絞めつけられる様な事件です。
実際、私もメンタル不調の労働相談者に同行して労災申請のため労基署に赴いたり、労災申請手続を行うことがありますが、これはあくまで「事後的」な対応です。それでも過労自殺の様な取り返しのつかない結果に至る前に、相談に来てくれて良かった。そう思うことが少なくありません。
その意味でこの電通新人女性社員の過労自殺は、現実の労働現場と地続きの、すぐ隣にあっても何ら不思議のないケースです。しかしこの様なケースに至る前に、弁護士であれ、特定社会保険労務士であれ、未然に労働者側で寄り添うことができるのは、「事後的」であるが故に、現実には極少数と言わざるを得ません。
やはりこの種のケースを防ぐには、労働者側からのアプローチ、紛争による解決だけではダメなのだと思います。使用者側において、ラインマネジメントとは別の機能として、労働問題の原因をあぶり出し、予防していく仕組みが欠かせません。また、昨年法定されたストレスチェック制度の様なものだけでは、到底今回の様な悲しい事案を減らしていくことはできないのではないか。そう思います。
少なくとも一定規模以上の企業、医療法人等では、一定の追加的研修を受けた特定社労士による年1回の労務監査を法律で義務付けるといったことが必須でしょう。
それでも十分かどうかはわかりません。しかし、少なくとも過重労働をあぶり出し、それに基づくヒアリングが実施されれば、ゼロにはできないまでも、今回の様なケースを大幅に減らすことはできるでしょう。
全国に3000人しかいない労働基準監督官による「事後的」チェックだけの現状より、大幅に事態は改善するはずです。雇用保険料の使い方を工夫すれば、使用者に大きな負担を掛けず法定労務監査を実施することも不可能ではありません。
社労士会連合会および政治連盟には、社労士の場当たり的な労働紛争解決における権利拡大に終始するのではなく、社労士法の目的条文にある様に、真に「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上」に資するべく、是非実効性ある業務拡大に関してのアクションを主導してもらいたいと思います。
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