特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

それでも特定社労士が労働問題解決支援の主役である理由②「労働問題の臨床家は社労士だけという矜持」

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愛知県社労士会が、同会所属のK社労士が書いた「社員へのうつ病指南ブログ問題」でK社労士への処分を発表した様です。「3年間の会員権停止と退会勧告」という社労士会がなしうる最も重い処分としたことは、愛知県社労士会が最低限の自浄機能を果たしたと評価してよいと思います。後は同会現執行部への監督責任追及が同時になされるのを期待したいと思います。

 

一方、使用者側に偏った弁護士や社労士の中には、この処分について「早すぎる」「重すぎる」というコメントを早速に出している人達がいます。おそらくは、今回の件が自らにブーメランとなって返ってくることを憂慮してのことでしょう。彼らの論法は、「デュー・プロセス・オブ・ロー」すなわち「法に基づく適正手続の保障」が担保されていないというもの。しかし、少なくとも愛知県社労士会は「監察綱紀委員会」を開き、会則に基づいてK社労士の聞き取り調査を行っているわけで、その上での処分である以上、手続にかけた手間暇の多少については議論があっても、この指摘自体は全くの的外れと言わざるを得ません。

 

私自身も労働者側に立つだけでなく、使用者側からの依頼で多くの業務を行っています。前回も書きました様に、社労士法第一条の目的条文には、「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする」ために社労士制度を定めているわけですから、これはある意味当然のことです。

 

同時にこの二つの目的は、労働者側、使用者側いずれが依頼人であっても、依頼人の利益の実現の前提となるものです。程度の差はあっても、二つの目的に同時に資するという枠組みの中で、たとえそれが困難を伴っても、依頼の実現を試みること。利益相反とは一線を画し、労務管理や紛争解決手続を通じて労使双方にプラスに働く解を生み出そうとすること。これこそが社労士のみが持ち得る矜持でしょう。

 

それは、概ね「紛争化した労働問題」に関連してアクションを起こす労働弁護士やブラック企業批判の学者・評論家等と根本的に異なり、社労士が「日常としての労働」に寄り添っている存在であるから可能になることです。

 

労働問題の多くに関わってくるものに就業規則があります。しかし、企業がその就業規則の整備を弁護士に依頼することは皆無ではありませんが、極めてレアケースと言えましょう。同じく労働トラブルの多くの発生原因たる賃金や報酬に関わるものに、賃金規程、人事評価報酬制度などがありますが、それら整備に至っては、殆ど弁護士が関わることはないでしょう。既述の学者・評論家等も勿論右に同じ。

 

一方、全ての社労士がそうだとは言いませんが、多くの社労士は、これら就業規則、賃金規程、人事評価報酬制度の策定・相談・チェックに日常的に関わっています。つまりは、労働紛争予防のみならず、労働問題発生の根幹に触れ続けている唯一の臨床家。それこそが社労士の持つポテンシャルなわけです。

 

今回の愛知県会のK社労士の問題は氷山の一角かもしれません。しかしながら、そうしたことを少しでも減らしていくにはどうすべきか。そこを考えていかねばなりません。

 

私の答えは明快です。「労働問題の唯一の臨床家」としての矜持を持ち続けられる様に、使用者側業務偏重の社労士制度運用の改革(社労士業モデルの改革と言ってもよい)、より具体的には、労働者側業務確立のためのインパクトのある投資とそれらへの不断の努力に、各都道府県社労士会と連合会が大きく舵を切ることだと信じて疑いません。

 

簡単な算数で考えて見れば誰にでもわかることでもあります。社労士は毎年増えるけど、日本のアクティブな企業数はどんどんこれから減って行く。法的に認められた裁判外労働紛争解決業務の膨大な潜在需要の受け皿を創ることこそ、職域団体・組織としてのレゾンデートルだと思うのですが。

 

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