「委託契約」「請負契約」をめぐるトラブル。「雇用契約」以外の労務提供を正しく理解する。
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企業であれ、非営利組織であれ、「労務提供」を受ける側の担当者は、「労働契約」「委託契約」「請負契約」の違いを理解しているはずです。
しかし「労務提供」を行う側(あえてここでは「労働者」とは言いません)は、これについてよく知らないということがあります。そしてそこからトラブルになることも少なくありません。
ちょうど今、保険代理店の「委託型募集人」が問題になっていますが、それ以外の業種でも「委託契約」や「請負契約」によって「労務提供」を行うということは、一般的によくあることです。「労務提供」を行う側がそれらの契約形態を望み、実態も「労働契約」でないのであれば別に問題ありません。しかし「労務提供」を行う側は「労働契約」のつもりであったのに、「労務提供」を受ける側はそう思っていなかったという場合が問題です。
「委託契約」は「特定の業務処理を行うこと」、「請負契約」は「仕事の完成」を目的としますが、「労務に服すること」を目的とする「労働契約」の様に、
①労働基準法・最低賃金法に定める「賃金、労働時間、休日・休暇」等の最低条件
②労災保険法による「業務・通勤に起因するケガや病気に対する補償」
③雇用保険法による「失業後の所得補償」
などの労働関係法規が適用されません。
また「労働契約」では、会社の一般的指揮監督関係に入り、一定の規律に従い、「労働者」として労務を提供しますが、「委託契約」「請負契約」では、一般的指揮監督関係には入りません。
具体的には「労働契約」であるかどうかは、
(1)原則として、仕事の依頼、業務従事に対する諾否の自由がないこと、
(2)勤務時間・勤務場所の指定があること、
(3)業務用器具の負担がないこと、
(4)報酬が労働自体の対償であること(生活保障的要素、労働の質による格差があること)、
の4点に照らして判断されますから、実態として「労働契約」であるならば、「委託契約」「請負契約」で働かない旨を、相手方に伝えなければなりませんし、その場合「労働条件の明示」はもちろん、勤務実態によっては、雇用保険や社会保険の加入手続きを、使用者に求める必要も出てきます。
自分では対処できないという方、よくわからないという方がいらっしゃいましたら、弊所をはじめ、「労働者側社労士業務」を引き受ける社会保険労務士にご相談頂くのが良いと思います。
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