社労士は「エンプロイアビリティ」の共創に立って「和解」を創出する専門家です。
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労働相談をさせて頂くと、不当解雇や退職勧奨の様に紛争の顕在化した事案と同じくらい、近い将来「不当な処遇(リストラを含む)を受けるのではないか」という様な不安からのご相談事案が多い様に思います。また「○○○○と言うような叱責を受けた。これはパワハラに当たるのではないか。強制力をもって止めさせるにはどうすれば良いか」という様な事案も後を絶ちません。
しかし多くの場合、そういった状況に至った経緯を相談者にヒアリングしても、要領を得ない場合が少なくない。それは何故でしょうか?
そうした状況に至った自分自身の言動、使用者側とのやりとりについて、冷静に振り返って整理できている人が、相談者の中にあまり多くないのがその最大の要因だろうと思います。多くの相談者は、自らの不安や不満については隅々まで話すことができますが、そうした事態に至る冷静で客観的な「内省」を同時にしている相談者は殆どおられません。
もちろん、人と人が複雑に絡み合って出来上がるのが職場ですから、明らかに使用者側の「一方的な悪意」から始まる労働紛争も無いとは言いません。そのような場合には、未来志向でドライに「時間」と「金銭的リターン」を秤にかけ、労働者にとって最も納得のいくシステム(制度)で紛争解決を図るのが良いと思いますから、「内省」というのはあまり必要でないかもしれません。
しかし、それは決して労働紛争のメインストリームではない。特に営利やそれ以外の目標が明確な組織にあって、目標達成に必要な「エンプロイアビリティ」を有しているメンバーを排除しようとするのは非合理です。ですから、そうした使用者側の行動が生じるのは、どちらかと言えばレアケースであるという原理は、きちんと認知しておくべきだろうと思います。使用者側の行動にもそのきっかけとなった、何らかの労働者側の言動があると考える方が妥当でしょう。
驚くのは、「最も働きたい企業」ランキングの上位に入る様な企業で勤務しているにもかかわらず、リストラの恐怖に怯えたり、パワハラを殊更大きく事件化する労働者の多さです。残念ではありますが、こうした労働者が仕事をする場、こうした労働者のキャリアパスというのを、少なくとも雇用という形でこの国で見出すのは難しいのではないか。そう思います。
もちろんそうしたランキングは総論的なものですから、ランキング企業に在籍していても、運悪く不当な評価を受けたり、不平等な取扱いに晒されるということは少なくはないでしょう。しかしそうした人が、何らの「内省」もなくその組織外で受ける風圧は、組織内にいる場合とでは比較にならない程大きなものです。
そのような話をすると、将来的には兎も角、まずは「自らのエンプロイアビリティを上げるべく、今の環境の活用を考えてみます」と言ってくれるような相談者もおられます。また、「求められるものと自分がフィットしないと判断したので、自分を活かせる別の道を探します」と言って、紛争和解の道を社労士と一緒に探る方もおられる。
しかし、その一方でどうしても他罰的・他責的な思考から離れられない方々も少数ではありますがおられるわけです。そうした方々の内、何らの「内省」もなく、中途半端な知識を詰め込んだ「労働紛争ゴロ」と呼ばれる一部の人は、「社労士は労働者の役に立たない」と声高に叫びます。しかしこれは全く以て不勉強かつ見当違いも甚だしい。
社労士は、労働紛争解決分野においては、「和解」を創出する専門家です。依頼者の権利実現を最大限図るべく努力をしますが、一片の「和解」の意思もないのであれば、社労士に相談をもちかける方が、むしろおかしいわけです。
社労士は、あくまで「エンプロイアビリティ」を軸にして、将来にわたるキャリア形成に有益と考えられる視点で、迅速に労働紛争の解決を図るところにミッションがあると私は考えています。考えを異にする社労士もおられるでしょうが、少なくとも「闘争の支援」でなく「和解への助力」が社労士の本分であるということには、多くの方が同意頂けるのではないかと思います。
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