特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「辞めさせない」「早く辞めて入社しろ」。退社・入社をめぐる「理不尽」にどう対処するか?

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先日、顧問先企業の36協定提出に労基署に行った際、となりの窓口に「退職願を持って行って何度も『辞めさせて下さい』と上司に言っているんですが、了解してくれないんです」と相談に来ている若者と遭遇しました。

 

もちろん、円満退職を心がけるのは労働者としてあるべき姿ですが、期間の定めのない正社員であれば、当然民法627条の規定により、いつでも解約の申し入れをすることができ、報酬が期間をもって定められていない場合は、原則解約申入れ後2週間を経過したとき、月給制の様に期間をもって報酬を定めた場合は、期間の前半に申し入れればその期間末、期間の後半に申し入れれば次の期間末に、雇用契約は終了します。使用者の承諾は必要ありません。労基署の職員も当然そう説明していましたが、これは働く人にとっての「基本的なルール」が、いかに若年者に浸透していないかを物語る例といえそうです。

 

一方、大手家電メーカーの取締役経験者が管理部長(仮に「Aさん」とします)を務めるベンチャーの人事コンサルをした際、技術者の中途採用で、Aさんが入社予定者(仮に「Bさん」とします)に、一日でも入社してほしいあまり、「就業規則上は退職を申し出た月の翌月末退職になるので、再来月の1日入社します」というBさんの話をとりあわず、「民法上は2週間で退職できるはずだから、半月後には入社して欲しい」と強要し、BさんをAさんが押し切りそうになったのを、横で諌めた経験があります。Aさんの様なバックグラウンドの人でも、自分が当事者になると法律を盾にとって、世間常識を踏み外すというのはままあることです。

 

これらからわかるのは、労働者が転職に際して身につけておくべきは、最低限の「法的知識」と働く者としての「常識」、そして「理不尽」をクリアしていく術であるということです。

 

前者の労基署にあらわれた若者は、知識は十分とは言えないまでも、一人で悩まず労基署を訪ねた分、「理不尽」をクリアしていく術があったため、解決策が見つかった。一方、後者の方は転職者としてある程度の知識と常識を持ち合わせていたものの、「助け舟」がなければ「理不尽」を受け入れていたかもしれません。「理不尽」を受け入れることそのものは、やむを得ない時もあるでしょうが、前職にその影響が及ぶとすれば、やはり最大限の努力で回避しなければ、職業人として自らがマイナスを蒙ろうというものです。

 

その意味で、「働く」ということについてもっと気軽に相談ができる存在がなければいけないということを改めて思います。社労士がそのフロントラインに立つ時代を引き寄せなければいけない。そう思わせてくれる二つの印象的な出来事です。

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