特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「朝活」「朝型勤務シフト」がトラブルに発展?「労働時間管理」と「残業代計算」をめぐる根本的誤解を解こう。

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「朝活」ブームや、伊藤忠の「朝型勤務シフト」の成功などもあり、「早朝出勤」を推奨する会社が増えています。

 

私自身も朝型人間ですし、人間の身体のメカニズムとしても一般的には朝の方が効率的に仕事を処理できるとされていますから、それ自体は良いことだと思うのですが、これまでと違ったことを始めるとなると、必ずどこかに問題が生じるものです。

 

まずもってこの場合、「早朝出勤」に伴う「労働時間管理」「時間外手当」について、労使の考え方の隔たりから、思わぬトラブルが生じる可能性もあります。

 

使用者側で労働法をよく理解していない人達の中には、所定労働時間を越えて夜働くのは残業になるが、「早朝出勤」は残業でないと思い込んでいるいる様な人もいないわけではありません。労働時間に該当するかどうかは、「使用者の指揮命令下にあるか否か」によって、客観的に実態で判断されるものです。ですから、始業時間より前に出社し、特段上席者から命じられたわけでなく、自主的に準備をしている時間などは、「労働時間」にならならないと考えるのが普通です。しかし前日の終業時間間近になって、翌日10時までに企画書を作成しておくように上司から命じられ、その作成のために、始業時間の2時間前に出社して仕事をしていたという様なケースは、上司がその場に居ようが居まいが、「指揮命令下」にあると判断し「労働時間」と考え、これには「時間外手当(残業代)」を支給するのが妥当でしょう。

 

一方、労働者側も「早朝出勤」も残業になるからといって、何でもかんでも「労働時間」だと権利主張するのは考え物です。「使用者の指揮命令下にあるか否か」というのは、既述の例の様に、必ずしも明確な線引きができる場合ばかりではありませんから、残業の「事前承認制度」をむしろ労働者側から使用者側に提案するなどして、明確に特定できる仕組みづくりに努力した上で、それ以外のものについては権利主張を控えるくらいが、良好な労使関係づくりには丁度良いのではないかと思います。

 

極端な話をしてしまえば、労働者が所定労働時間中に携帯電話にかかってきた私用電話に受け答えする時間さえ、使用者側から見れば「労働時間」にカウントしないと主張することが可能です。また、就業規則次第では、そのようなことが度々続けば、減給の制裁など、懲戒処分に処すことだって無理筋とは言えません。

 

話し合いと譲り合いの精神を持って、労働者側も使用者側もコミュニケーションする土壌を築くこと。「労働時間管理」や「残業代計算」に限りませんが、そうした「メタ・コミュニケーション」、トラブルで労使共に消耗するのを未然に防ぐ話し合いの習慣こそが、これからの労使関係には一番重要だと私は考えています。

 

 

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