特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

インターンシップと労働法。2016年新卒の方はご注意を。

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就活支援をプロボノでさせて頂いている関係から、2015年新卒の学生さんからの「内々定」の嬉しい報告を受ける季節になりました。そうかと思えば、早くも2016年新卒の学生さんからインターンシップ参加のアドバイスを求められる機会も増えています。

 

どういう会社でどういうインターンをするのが良いかについては、もちろん個々人のキャリアプランによって違いますし、一般的な意味での「正解」というのはありません。ただ一般的にインターンシップに関して注意しておかないといけないこともあります。その代表格は「インターン中の賃金、労災」について。今や全就活生の6割以上がインターンシップに応募するそうですから、今日はこれについて書きます。

 

 大手企業なら兎も角、インターンシップを行うベンチャーNPOの側には必ずしも労働法に関する知識があるとは限りません。インターンシップの学生に賃金を払わないのが慣行になっている組織も少なくないかもしれません。それでもインターン生にとって魅力的な職場であれば応募したくなるのでしょうが、しかしやはり「無給インターンシップ」に参加することは、社会保険労務士としてはあまりお奨めできません。

 

もちろんインターンシップという名目でも、インターン生が労基法9条の「労働者」とみなされる場合、労基法の適用を受け、24条の賃金支払義務が生じます。また同時に最低賃金法の適用も受けることになります。これだけであれば損得の問題で済むのですが、重要なのはこの「無給」が、インターン中の労災の問題と絡んでくるためです。

 

インターン中の事故等に際して労災が認められる、すなわちインターン生が「労働者」と認められるのはかなり限定的で、少なくとも、使用者の指揮命令下にあり、契約上の義務として最低賃金法の規定を上回る一般労働者並みの賃金が支払われ、インターンの本来業務遂行中の事故であることを、行政は要件と考えている様です。従って「無給インターン」については、インターン中の事故による負傷等に労災が認められ、給付をうけることができる可能性が低いと思われますから、仕事内容にもよるのでしょうが、基本的には避けて頂いた方が良いと思います。

 

加えて言うならば、当然がら通常の労災事故の場合と同じく、使用者側には安全配慮義務があり、インターン時の事故においても事業主に過失があれば、インターン生から労災とは別に損害賠償を請求されることもあります。ですから人事総務のしっかりした会社であれば、インターン生の受け入れに際して、民間の損害保険会社による賠責保険でそこもカバーしているでしょう。厳密に言えばこれもインターン参加に際して知っておきたい情報です。

 

こうした事まで事前に確認するのは難しいかもしれませんが、慣れない環境に身を置くわけですから、不測の事態に備えるにこしたことはありません。確認できることはできるだけ、インターン開始前にそのあたりも含めてしておくのがベターだと思います。

 

他にもインターン開始に際しての法的な注意事項はあるのですが、それは他の士業の方にお任せするとして、とりあえず専門の労働法周りで注意事項を書いてみました。2016年新卒の皆さんが、これからのキャリアデザインに役立つ有意義なインターンを経験されることを、願っています。

 

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