特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「基本給」「固定残業代」探偵の事件簿。求人サイトで読み解けない企業は臆せず確認しよう。

いつもお読み頂きありがとうございます。

沢山の方に読んで頂きたいので、

よろしければ、↓ をクリックして下さい。


社会保険労務士 ブログランキングへ

 

f:id:obanasr:20140614175611p:plain

これだけ「ブラック企業問題」がクローズアップされても、求人広告に対する法規制はあまいというか、ザル状態のままです。これは労働トラブルの諸悪の根源と言っても良いものですが、行政指導を強めるぐらいの対応でお茶を濁しているのが現状。業界の自主規制の動きも目だってみられません。

 

余談になりますが、2016年以降の新卒売り手市場化を勘案すれば、私が後発の新卒求人サイトの運営者なら、真っ先に「ホワイト・コード」として「給与内訳の明記」「36協定の開示」を打ち出して「逆張り」に出ますね。もちろん明記・開示できないクライアントは失うことになりますけど、優良だけど採用ブランドや知名度が乏しくて新卒採用に苦労している企業なんかは、「ホワイト企業証明(少なくともブラックではない証明)」付の企業しか掲載されていないサイトに載ることで、一定数の学生はグリップできるわけですから、出稿してくれますよ、そんなに高くない媒体料金なら。パブリシティは飛びついてくるし、ある程度学生の目に触れるチャンスが得られるから、「専門店」としての価値はあるはず。フイージビリティはそれなりにあるんじゃないでしょうか?「エコ・コンシャス」や「フェア・トレード」のショップみたいなものですね。そろそろNPOでも立ち上げて自分でやるか(笑)…。

 

脱線はさておき、可能な限り求人サイトから労働条件、少なくとも基本給(基準内賃金)くらいは、読み取るトレーニングをしておいても損はないと思います。もちろん解読不能の企業も沢山あるので、そうした企業はスルーするか、説明会などで直に確認した方が良い。悪いことは言いません、そういうところで質問してきっちり対応しない様な企業は、いくら憧れの企業でも、新卒では入社しない方が良い。最少から労使バランスが崩れている企業なんですから。

 

それではトレーニング開始です。まずはいろいろと採用周りで話題の多いファーストリテイリンググループの株式会社ユニクロ

「■給与            210,000円 (大卒実績) 
 ■諸手当         超過勤務手当、通勤交通費(当社規定による) 」(出典:リクナビ2015

となっていて、普通なら210,000円が基本給(基準内賃金)で、超過勤務手当は全て時間に応じて支給されると読めますが、実際はどうなんでしょう?こういうのは、説明会等で説明がなければ、「210,000円は基本給で、時間外手当は管理監督者以外全ての時間数超過勤務手当で支給されるということでしょうか?」と聞いて確認するしかないですね。

 

ファーストリテイリンググループ同様、「英語公用語化」でも名高いインターネットサービス大手の楽天株式会社の場合だと、

「2013年度実績 
 学士 300,000円~(月給) 
 修士 310,000円~(月給) 
 ※月40時間を超えた時間外労働には、別途手当あり 
 博士課程取得/ ※個別相談いたします」(出典:リクナビ2015

となっています。

ここから読み取れるのは月給には40時間分の「固定残業代」が含まれているということ。

「休日/完全週休2日制(土、日)・祝日

 休暇/夏季休暇・年末年始休暇・年次有給休暇・特別休暇」

から考えると1日8時間の平均月20日出勤で125日休日くらいではないかと想像できます(ちゃんと書いていないんだから想像するしかありません)。そうすると月160時間あたりが所定労働時間(法定労働時間以下の所定労働時間ならもっと少なくなりますが)と考えられます。従って誤差はあるでしょうが、2013実績の学士卒の場合、300,000=a×160+a×1.25×40(aは時間単価)と仮定すれば、a=1,428円。そこから推定すると、固定残業分を含まない純粋な基本給部分は、大体228,500円くらいになりそうです。もちろんこれは幾つも仮定を置いているので推定値ですが、ざっくりした目安にはなると思います。これが高いか安いかより、「そんな感じ」と理解することの方が大事です。「時間外はそう言う理解で良いんでしょうか?また、休日出勤は全て手当で支給されるんでしょうか?」くらいは、聞いてみても良いかもしれません。「労働条件の確認」と「労働意欲」には何の相関もありません。それで採用に支障が出る様なら、ご縁がなかったまでのこと。そう思うのも大切です。

 

 f:id:obanasr:20140614175611p:plain