『弱くても勝てます』が教えてくれる労働問題対処法。
嵐の二宮和也扮する東大で生物を研究してきた新人教師が、日本有数の進学校のへっぽこ野球部の監督になって、弱小野球部を甲子園に連れて行こうとするドラマ『弱くても勝てます』。原作は、
らしいですが、意外にこれが結構、労働問題の対処法を考えるのに役立ちます。ちなみに、この年(平成17年)の開成高校野球部は都大会ベスト16。最後に負けた国士舘高校は甲子園に出場したのだそうです。
なぜ『弱くても勝てます』が労働問題の対処に役立つか。その第一のポイントは「マイルストーンの設定」でしょう。
『弱くても勝てます』では「めざせ、甲子園」ではなく「強豪校の撃破」を目標に設定します。労働問題では、解雇や退職勧奨、身体に危害が及ぶパワハラといった切迫した問題は、直ちに闘争や強制的な措置を講ずる必要があります。ですがそれら以外は、ある程度時間をかけて解決することができるわけです。そういう場合には問題解決に向けての「マイルストーンの設定」が役立ちます。法律は確かに労働者が問題解決のための武器ですが、法律を盾にとっても、直ちに「理想の職場」「理想の働き方」が手に入るわけではありません。物事というのはそんなにクリアカットには実現しないし、最終的な大目標が達成できるかできないかは常に遂行的で、設定したマイルストーンをクリアする事によって、状況も変化します。ですから少なくとも労働問題の何割かは、「マイルストーンの設定」によって解決の可能性が高まると言えるでしょう。パワハラやセクハラ、長時間労働の問題は、使用者側が故意や悪意で放置しているものばかりとは限りません。適切な人と適切な方法で話し合うことで、段階的な解決に向かうこともないとは言えません。
第二に『弱くても勝てます』では、「守備を捨てて攻撃に集中しコールド勝ちを狙う」とか「勝ちパターンのある相手を攪乱し普段の戦い方をさせない」といった徹底して「カスタマイズされた戦術」を採用します。これも労働問題の対処の参考になる部分です。通常、使用者側に比べ非力な労働者ですが、組織のためになるという観点で主張すれば、ルールを守りながら、知恵を絞って希望を通していくことも不可能ではありません。もちろん綺麗事ばかりではありませんが、正面衝突を避け、労基署や労働局を動かすことによって、事態の打開を図ることができる可能性も少なくはないのです。
「マイルストーンの設定」にせよ、「カスタマイズされた戦術の採用」にせよ、労働者が一人で悩み、考え出すのは大変なことです。知識も経験も足りないかもしれません。そうした場合に活用できるのが、労働者側社労士です。『弱くても勝てます』でもプレーするのは勿論選手(労働者)ですが、マイルストーンにせよ、カスタマイズされた戦術にせよ、対話の中でそれを考え、方向性を指し示すのは、監督(労働者側社労士)の役割ですよね。
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