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特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「金銭解雇ルール」は本当に労働者にマイナスか。

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安倍政権下で「金銭解雇ルール」導入問題はずっと燻り続けています。この問題に関しては、労働組合を中心とする「反対派」も少なくありませんし、「賛成派」の財界人を除けば、殆どは「慎重派」というところではないでしょうか。

 

私はこの問題に関しては少なくとも「反対派」ではありません。どちらかと言えば「慎重派」で、ルールの中身次第だと思っています。“労働者側社労士”の視点というタイトルでブログを書いているのに、「反対派」じゃないのか、不謹慎だという人もいるかもしれませんが、それは早計というもの。現実問題として、この種の明確なルールやガイドラインが無い中で、むしろ不当に損をしているのは「労働者側」ではないかと考えています。だから中身が妥当なものなら「金銭解雇ルール」はあった方が良いというのが私の意見です。

 

実際に、あっせん等による和解、労働審判における調停成立・審判確定でも、「職場復帰」がないわけではありませんが、それは非常にレアケース。これらにおける解決は、殆どが解決金の授受による「金銭解決」です。確かに、裁判上「不当解雇」が認められれば職場に戻る道は開かれますが、復職の強制執行はできませんから、その場合も金銭解決となることが圧倒的で、実際に「職場復帰」に至るのは100人に1人にも満たないでしょう。また、戻ったからとて、正常に従前の様に働けるかどうか。裁判は働く人の未来を保証してくれるわけではありません。組織の人事裁量権も小さいものではないのですから。

 

実態がそうである以上、むしろ労働者にとって、現状よりも手厚い金銭補償がなされることの方が望ましいのではないか。そうであれば、重要なのは金銭解決ルールの「解決金水準」ではないかと私は思うわけです。

 

あまり良い数値データがありませんが、現状の解雇の金銭解決水準は、あっせん(解決まで約2ヵ月)、労働審判(解決まで約6ヵ月)、訴訟(解決まで約1年6ヵ月)と進むにしたがって上がるものの、解雇無効の場合の賃金請求分を除いた純然たる解雇の代償としての解決金は、訴訟であっても年収の50%程度が大半です。この水準は極めて低いと言わざるをえません。

 

欧州主要国は金銭解雇を認めていて、解決金の上限を、イギリスは1年分の給与、イタリアは2年分の給与、ドイツは1年半分の給与としていますが、私は日本で金銭解雇ルールを導入するならば、上限だけでなく、下限を設けることことは必須だと思います。

 

具体的に言えば、現状の訴訟のケースにならって、6ヵ月分の給与を下限、1年半分の給与を上限とし、その間で解雇に至る情状を斟酌して、あっせんの和解解決や労働審判を進めていく形をとれば、少なくとも解雇に関しては、労使共に負担の大きい訴訟にあまり発展せず、スピード解決に至る可能性が高くなります。

 

こうしたルール設定であれば、一考に値するのではないかと私は思うのですが、おそらくこの水準だと大手企業の賛成は得られても、中小企業の反発は必至。ですから、法案になって国会審議にまわっても、現状では廃案になるのかもしれません。

 

しかし、一方的に使用者側が利を得る様なルール設定だと、まとまるものもまとまりません。労働者側にもメリットが十分にあるこの辺りが、実際、落し所だと思うのですがねぇ。

 

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