特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「不当解雇」等で解雇無効を争う場合、給料はどうなる?「バックペイ」の計算方法。

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「不当解雇」で解雇無効確認、解雇が無効な場合の賃金の請求をしたいという場合、請求できる金額はどうなるでしょうか。解雇無効の場合に使用者が労働者に対し支払う義務のある解雇以降の給料、すなわち「バックペイ」の問題ですね。「不当解雇」では中核的テーマなので、具体例でシミュレーションしてみたいと思います。

 

【事例】

XはY社に勤務し、月給40万円、賞与を夏・冬それぞれ1.5ヶ月分得ていた。年度末の昨年3月31日解雇され、その後5月1日より今年の2月末日まで別のZ社で月給25万円で働いていた。今年3月末に解雇無効で解決した場合、いくらの賃金が請求できるか。Y社、Z社も末日が賃金締切日で、支払日は翌月10日、Y社の昨年4月10日の賃金は支払われているものとする。

 

この事例の場合、解雇無効となった場合に請求できる賃金は以下の様になります。

 

使用者は、解雇以降解雇無効が解決するまでの賃金を支払うにあたって、労働者が、その期間中に他社で働いて得た賃金(中間利益)を控除することができます(民法536条2項)。その一方で、「不当解雇」の様に使用者の責めに帰すべき事由による休業期間中、労働者は「平均賃金(3ヶ月を超える期間毎に支払われる賞与を除く賃金)」の60%の支払いを使用者から受ける権利を保障されています(労働基準法12条、12条4項、26条)。

 

従って、

①解雇されなければY社からXに「本来支払われるべきであった賃金」

40万円×12ヶ月+40万円×1.5ヶ月+40万円×1.5ヶ月=600万円

②XがZ社から得た賃金

25万円×10ヶ月=250万円

③解雇以降の解決までの期間に対応した「平均賃金」

40万円×12ヶ月=480万円

とした場合、②は、

・まず③から③×60%を差し引いた部分、すなわち③×40%から控除され、

・それでも控除しきれない場合は、さらに「平均賃金算定の基礎に算入されない賃金」の全額を控除できるので、「賞与」の40万円×(1.5ヶ月+1.5ヶ月)=120万円から控除されます。

 

よって「バックペイ」は、

480万円×60%+{120万円-(250万円-480万円×40%)}=350万円

と計算できます。

 

上記はあくまで、わかりやすい事例で計算したものです。実際には、在職時に未払残業代があった場合にはどうなるとか、年俸制の場合はどうだとか、ケースバイケースで計算しなければなりません。

 

本人交渉、あっせん、労働審判、本訴、いずれで解決を図るにしても、請求額の目安は立てておかないといけませんから、アクションを起こされる前に、弊所をはじめ「労働者側社労士業務」を行う社会保険労務士に、ご相談頂ければと思います。

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