読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「内定」で労働契約は成立。労働条件の明示は採用企業の義務のはずだが…。

f:id:obanasr:20140614175611p:plain

2015年の新卒採用活動も終盤戦だと思います。「内定式」は10月1日という会社が多いでしょうから、「内々定」を得られた学生さんは少しほっとしながら、まだ「内々定」が出ていない方はラストスパートをかけながら、最終学年を過ごされていることでしょう。

 

私が微力ながらさせて頂いている就活プロボノ活動で、接点のある学生さんと話していてふと思ったのですが、「内々定」の段階では新卒採用サイトの情報以上の、きちっとした労働条件の伝達というのは、やはり殆どの企業でなされていない様です。

 

「内定」の法的位置づけについては前にも別記事を書いていますのでそちらをお読み頂きたいのですが、確かに「内々定」段階では、通常書面で「内定通知書」はもちろん「労働条件通知書」に相当する様なものを出すことはありませんし、「始期付解約権留保付労働契約」が成立するのは、判例では「内定の通知後、入社誓約書まで提出している」場合ですから、別に法的には問題ないのですが、社労士目線で言うと、正直な話もう少し丁寧な対応を企業側もした方が良いのにという感想を持ちます。

 

内々定」を得ても就活を止めない学生もいるでしょうが、少なくともそれによって就活を止める学生の方がマジョリティである限り、せめて「内々定者」には、書面は回収するにしても、労基法に定める「絶対的明示事項」の内未定の事項以外と「相対的明示事項」で該当する部分については、内容を確認しながら説明し、学生の質問を受け付けるくらいの配慮は、企業(使用者)側にあっても良い気がします。

 

ちなみに「絶対的明示事項」は以下の通りです。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(更新する場合があるものの締結の場合に限る)
  3. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  5. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項(ただし、退職手当や臨時に支払われる賃金を除く。)
  6. 退職に関する事項(なお、解雇の事由を含む。)

また「相対的記載事項」は以下の様になります。

  1. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及びこれらに準ずるもの並びに最低賃金額に関する事項
  3. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  4. 安全及び衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰及び制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項

 

問題は、10月1日が大半である「内定式」以後、「誓約書」まで提出しているにもかかわらず、既述の「絶対的明示事項」「相対的明示事項」の内、配属先など、新卒故に未定にせざるを得ない事項を除いても、明確に労働条件が伝達されていないケースです。労働契約の締結に際して明示されているべき事項を、この段階でも労働契約の当事者である「内定者」伝えていないのは、法的にも大いに問題ありと言えます。

 

このあたり実際どうなのか、今年以降は就活プロボノで接点のある学生さんの協力が得られれば、追跡調査したいと思います。あくまで想像ですが、責任者は兎も角、日本企業の人事マンは、担当者レベルでは総じて法律に疎い人が少なくないので、このあたりのケアができていない会社が、そこそこの大企業でも少なくない様な気がします。

 

いずれにしても、「内定後、入社誓約書を提出」した段階でも労働条件の明示が無い様なら、「入社後の労働条件をまとめた書面とか、就業規則とか頂けるのであれば、欲しいのですが。入社前に頭に入れておいた方が良いと思うので…」とさらっと尋ねてみるべきだと思います。その反応次第で不安があれば、労働者側社労士に相談するのも良いと思います。仮に定年まで働くつもりでなくても、社会人デビューをする企業との関係は、その後の職業人生活に大きな影響を与えます。憂うことなくスタート切りたいものです。

 

f:id:obanasr:20140614175611p:plain

 

いつもお読み頂きありがとうございます。

沢山の方に読んで頂きたいので、

よろしければ、↓ をクリックして下さい。


社会保険労務士 ブログランキングへ

 

f:id:obanasr:20140527231948p:plain