特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「未払賃金立替払制度」で企業倒産リスクを回避する。

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おぼろげには知っているが、詳しくは分からないという人が多いのが「未払賃金立替払制度」です。景気回復基調で倒産件数が減っているとはいえ、2013年で年間1万社以上の倒産件数があるわけですから、毎年数十万人規模でその影響を受けている労働者がいることには違いがありません。今日はそんな時に役立つ「未払賃金立替払制度」について書きます。

 

この制度は、企業が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、未払となっている賃金の一定額、「退職日の6か月前の日から機構に対する立替払請求の日の前日までの間に支払日が到来しているの定期賃金及び退職手当のうち、未払賃金総額又は限度額(30歳未満110万円、30歳以上45歳未満220万円、45歳以上370万円)の、いずれか低い額の8割相当分」について、政府が事業主に代わって立替払を行う制度です。独立行政法人労働者健康福祉機構事業を実施し、同機構が立替払を行ったときは、労働者の承諾を得て賃金請求権を機構が代位取得し、事業主等に求償するという仕組みになっています。

 

勿論、立替払を受けるには幾つか要件があり、まず未払賃金立替払制度の「対象となる倒産」に該当するかどうかを確認しなければなりません。(1)法律上の倒産(破産手続き、特別清算、再生手続き、更生手続きの開始について裁判所の決定又は命令があった場合)、(2)中小企業(法律上の)における事実上の倒産(労働者に賃金を支払えない状態になったこと、具体的には、①事業活動が停止し、②再開する見込みがなく、③賃金支払能力がない状態になったことについて労働基準監督署長の認定があった場合)のどちらかに該当する必要があります。

 

また、「立替払を受けることのできる人」は、(1)雇用されていた使用者が労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていたこと(法人、個人の有無、労災保険の加入手続きの有無、保険料納付の有無は問わない)、(2)倒産について裁判所への破産申立等(事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長への認定申請)が行われた日の6か月前から2年の間に退職していること、の二つを満たしている労働者となります。

 

立替払が請求できるのは、裁判所の破産等の決定又は労働基準監督署長の倒産の認定があった日の翌日から起算して2年以内で、この期間を過ぎてしまった場合は立替払を受けることはできません。

 

手続きは、(1)法律上の倒産と(2)中小企業(法律上の)における事実上の倒産で異なり、申請先や提出書面(立替払請求書・証明書、認定申請書、確認申請書)も違ってきます。多少の費用はかかりますが、立替払手続きに通じている社労士に相談の上、書面作成と提出代行を依頼するのが、確実かつスピーディーな方法であると思います。弊所でも勿論対応致します。

 

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