特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「名ばかり管理職」再考。貴方は「残業代」支給されていますか?

f:id:obanasr:20140614175611p:plain

現在、産業競争力会議で所謂「残業代ゼロ」の対象をどうするかという議論が盛んに行われています。同会議の民間議員からは年収に関係なく「幹部候補」をその対象にしようという提案がなされている様ですが、これが何を意味しているかわかりますか?その答えは後程書くとして、前提として「名ばかり管理職」から話を始めたいと思います。

 

現行法下では、労基法の労働時間・休憩・休日の規制を適用されない所謂「監督若しくは管理の地位にある者(管理・監督者)」については、深夜残業代を除いて、時間外手当や休日出勤手当の支給対象となりません。数年前に某有名ハンバーガーチェーンの店長に関する「名ばかり管理職」訴訟で、店長を「管理・監督者」と認めず、遡っての残業代支給が命じられたことがあります。本来かなりハードルの高い厳格な要件を満たさなければ、この「管理・監督者」には該当しないとされているわけです。

 

その要件とは、

事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること、

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること、

③一般の従業員に比してその地位と権限に相応しい賃金上の処遇を与えられていること、

の三つです。

 

これらを満たすか否かは個別の事案毎に見ていく必要があり、判例も営業等の「ライン管理職」と経営企画等の「スタッフ管理職」では異なった扱いをしていますが、いずれにしても、「店長」「課長」「マネージャー」といった名称をもって一律に「管理・監督者」と位置づけ、労働時間・休憩・休日の規制適用除外とする傾向が強い産業界の現状では、「隠れ未払い残業代」は莫大な金額にのぼると考えられます。

 

冒頭に述べたように、産業競争力会議の民間議員が、年収に関係なく「幹部候補」を「残業代ゼロ」の対象にしようという提案にこだわるのは、端的に言えば、現状グレーまたはブラックな「名ばかり管理職」の労働時間・休憩・休日の規制適用除外を「ホワイト」にしようという、合法化の狙いがあるためです。

 

法改正の行方は予断を許しませんが、少なくとも現行法下では「名ばかり管理職」で「隠れ未払い残業代」を請求する権利のある労働者はとてつもない数に達するでしょう。どういうアクションを起こし、何をどこまでどういう形で要求するかは労働者側の考え方次第ですが、仮に未来志向で労働条件の改善要求の切り札に使うとしても、現状の自分のケースがどう判断されるかを知ることが第一歩になります。こういう相談は、労働者側社労士が得意とするところでもあります。お気軽にご相談頂ければと思います。

 

f:id:obanasr:20140614175611p:plain

 

いつもお読み頂きありがとうございます。

沢山の方に読んで頂きたいので、

よろしければ、↓ をクリックして下さい。


社会保険労務士 ブログランキングへ

f:id:obanasr:20140527231948p:plain