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特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「裁量労働制」。貴方の会社は正しく運用されていますか?

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現在、安倍首相が議長を務める産業競争力会議で「労働時間規制緩和」、「特定の労働者を対象とした残業代支払の適用除外(あるいは労働時間のみなし制)」と「裁量労働制の拡大」が議論されています。これは働く者にとって、将来にわたり大きな影響が出てくる問題です。報道はどちらかと言えば「特定の労働者を対象とした残業代支払の適用除外(あるいは労働時間のみなし制)」の方に偏っていますが、私はどちらかと言えば、実際に実施されるとより広範な労働者に影響が及ぶ「裁量労働制の拡大」の方が深刻な問題だと思っています。今日は現状でも問題の多いこの「裁量労働制」について書きます。

 

自分の所属する会社が「裁量労働制」を採用していて、労働者側からそれを検証する場合には、

①自社の採用している裁量労働制は「専門業務型」か「企画業務型」か、

②自分が適法に裁量労働制の対象となっている否か、

③その裁量労働制は適正に実施されているか否か、

の3点に注目する必要があります。

 

まず①についてです。「裁量労働制」は、1987年の労基法改正で、技術革新、サービス経済化、情報化などの下、労働時間を一般労働者と同様に厳格に規制するのが適切でなくて、労働者の裁量の幅が大きい業務遂行が実態や能力発揮から見て欠かせない、専門的労働者が増加したことを受けて設けられたものです。その後法改正を繰り返して、厚生労働省令で限定列挙した専門業務を対象業務とする「専門業務型裁量労働制」と、経済界の要請に応えて企業の本社等の中枢部門で企画、立案等の業務を自らの裁量で遂行する労働者を対象とした「企画業務型裁量労働制」の二つの制度が現在設けられています。その両方とも「労使協定でみなし労働時間を定めた場合には、当該業務を遂行する労働者については、実際の労働時間数に関係なく協定で定める時間数労働したものとみなす」制度であるわけです。働き方に大きく関わるわけですから、まず自社の採用している裁量労働制が「専門業務型」なのか「企画業務型」なのか、はたまたその両方なのかを把握する必要があります。

 

②は①を確認した上で、労働者自身が「裁量労働制」のどの対象業務に該当しているかを検証することを意味します。裁量労働制では対象業務を専門業務型が労働省令で列挙し、企画業務型は指針で例示していますが、これには解釈の入り込む余地(特に企画業務型)があります。中には到底「裁量労働制」の対象とならない様な業務に就いているのに、何故か「裁量労働制」に組み込まれて「みなしの労働時間」で仕事をし、出るはずの時間外労働の賃金が出ていないという様なこともあります。

 

③は実態として運用が適正であるかどうかです。「裁量労働制」という制度そのものには、「みなし」があっても、休憩、休日、時間外・休日労働、深夜業の法規制は及びます。つまり協定した「みなし労働時間」が法定労働時間超える場合は、三六協定の締結・提出も必要ですし、割増賃金の支払も必要とされます。しかし、多くの典型的な裁量労働制は、その趣旨からも成果・能力主義賃金制度とワンセットで導入されることが一般的で、実際の労働時間を問題とせず、所定労働時間労働したとする協定を締結することがしばしばあります。そうなると必然的に「過重労働」となる可能性も高くなるわけです。企画業務型については、「労使委員会」の設置と、同委員会による「みなし労働時間数」「健康福祉を確保するために使用者が講ずる措置」「労働者の苦情処理手続き」等の5分の4の多数決決議が定められており、それを防止しようとしています。しかし、それ故煩瑣な手続きから企画業務型そのものが敬遠され、それら手続きのない専門業務型で、適正とは言い難い運用が目立つようになっているわけです。

 

従って現行の取り締まり体制、労働基準監督官の数や権利行使状況の下では、裁量労働制はホワイトカラーに対する「ブラック労務」の温床になってしまっているところも多分にあります。

 

裁量労働制による「賃金の不当な抑制」や「過重労働」にお悩みの労働者の皆さんは、労働者側労働相談を受ける社労士にご相談されるのをお勧めします。「労働時間管理」について最も精通しているは社会保険労務士ですから、問題解決に様々なサポートができると思います。

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