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特定社労士「労働者代理人」の視点

大阪・梅田で「労働紛争解決(あっせん等裁判外紛争解決手続の労働者側代理など)」「就活」「転職」を支援するリクルートグループ出身の特定社会保険労務士が一筆啓上!すべての「働く人」に役立つ知識と知恵をご紹介します。

「労働条件通知書」の確認は労働者側トラブル予防の根幹。

採用問題 労働条件問題

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合同労組(ユニオン)や労働者救済のNPOの活動が近年活発になっています。彼らは「労働のプロ」を自任して、労働問題・労働トラブルの「事後的な対処」については熱心に語りますが、労働者側での「予防」についてはそう多くを語りません。今日はそのお話を少し。

 

 労働トラブルが発生するのは退職時が圧倒的に多いわけですが、それはトラブル顕在化のタイミングの話であって、その多くは「入社時の労使間の齟齬」に起因しています。勿論、新卒採用であれ、中途採用であれ、組織の事が全てわかって入社する人はいませんし、本来労働条件の明示については、使用者側が義務を負っています。ただ、だからと言って事後的に使用者と事を構えるだけでは、労働者にとっても機会損失が大きい。労働トラブルの何割かは、内定時に労働条件の確認を労働者側から的確に行うことで予防することができます。

 

労働基準法第15条と同法施行規則第5条第1項で「明示すべき労働条件」は以下の様に定められています。

 

ア)労働契約の期間に関する事項、
イ)就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、 
ウ)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項、
エ)賃金(退職手当及びキ)に規定する賃金を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項、 
オ)退職に関する事項(解雇の事由を含む)、
カ)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項、 
キ)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与などに関する事項、 
ク)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項、
ケ)安全及び衛生に関する事項、
コ)職業訓練に関する事項、
サ)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項、
シ)表彰及び制裁に関する事項、
ス)休職に関する事項、

この内、特にア)からオ)まで〔ただし、エ)の昇給を除く〕は重要な労働条件であるため、労働者への書面交付が義務付けられています。カ)からス)までの事項については、使用者がこれらに関する定めをしている場合は、口頭で明示すれば足りるものです。

 

ア)からオ)までの書面交付義務のある事項については、一般に「労働条件通知書」という書面で内定時に労働者に交付されるはずです。口頭ベースで良いとされているカ)からス)とともに、これらについて疑義が生じない様に、その時点で使用者側に確認しておくことが、労働者側にも欠かせないと私は思います。

 

また、内定時点でこの書面が交付されない様なら「どのタイミングで労働条件通知書を頂けますか」と聞いて良いと思いますし、その回答が要領を得ない様なら、入社を思い留まるのも労働者側のリスクヘッジの一つです。

 

労働トラブルが使用者側の明らかな違法性を問うものならいざ知らず、労働条件の齟齬をめぐるものである場合、適法な手続きを踏んでいる使用者側に非を認めさせるのは困難ですし、如何に労働紛争が労働者側に有利と言っても、その場合はまず勝ち目はありません。

 

自分で調べられないのなら、内定段階で労働条件通知書を持って労働者側の労働相談を受ける社会保険労務士を訪ねるのも良いと思います。わずかな相談料で長く勤める企業への入社判断の誤りや心配の種がなくなるなら、それは安いものかもしれません。使用者側に無用の加害者意識を持ち、自らは被害者意識から出発している労働者に、あまり利になることはありません。労働者自身が主体的に労働トラブル予防を心掛けることが、これからはますます重要になると私は思います。

 

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